オキュパイ・ウォール・ストリート!

2011年後半の、ニューヨークの大きな話題と言えば、ダウンタウンの小さな公園ズコティ・パークを占拠したオキュパイ・ウォール・ストリート。4年に一度のアメリカ大統領選挙の今年、オキュパイ運動は大きな『うねり』となるのか?年始をはさんだ動きと周辺情報を集めてみました!

1月15日のイベントにて

1月15日のイベントにて

こんにちは、ニューヨークナビです。ミュージカル鑑賞やショッピングなど、観光地として魅力的なニューヨークですが、貧富の格差や失業など、アメリカの他の都市やまた日本と同じように、多くの問題を抱えいます。2011年後半は、そういった状況に対して以前にも増して大きな抗議活動、オキュパイ・ウォール・ストリートが注目を集めました。はじめは、ダウンタウンの公園を少数の若者が占拠しているだけでしたが、どんどん人数が増えて、全米と世界にムーブメントとして広がりました。公園が私有地であったため、年末に閉鎖されるということがあり、盛り下がったかのようにも見えましたが、ネット上や他の都市での活動は継続されており、再度の公園のオープンを経て、2012年の動向が気になるところです。今回は、1月15日に行われた、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアを記念するイベントの様子、そしてムーブメントの周辺などをお届けします。
2012年年始、フェンスにて閉鎖された公園(その後フェンスは取り除かれたようです)

2012年年始、フェンスにて閉鎖された公園(その後フェンスは取り除かれたようです)

閉鎖された公園で抗議活動をする人達

閉鎖された公園で抗議活動をする人達

オキュパイ・ウォール・ストリートの源泉

2011年10月、ズコッティパークの様子

2011年10月、ズコッティパークの様子

オキュパイ・ムーブメントは、中東(特にエジプト)の民主化運動と革命に源泉があると、言われます。普段、海外ニュースが少ないアメリカのテレビも、エジプトの様子は連日伝えていて、非暴力での革命の様子が、「こんなことも、起こるんだ!」と、驚きを持って受けとめられていました。エジプトで、抗議活動が独裁政権を倒すのを見て、「アメリカにもタヒリ・スクエアを!」という思いとなり、ウォール・ストリート近くの公園の占拠にいたった様です。最初は、白人の若者が運動の中心でしたが、参加者が増えるのに従って、人種、年齢的に参加者が多様化して行きました。アメリカでは、以前にベトナム反戦運動が戦争の終結を早めたという経験があり、より年齢の高い人々もデモにも積極的に参加しています。また、オキュパイ・ムーブメントの初期の参加者の親が、その反戦運動世代にあたるという指摘もあります。実際、デモなどに子供連れて参加する人は多く、「不正に対して抗議出来る人間を育てよう!」という意志が感じられます。現在まで、運動は非暴力が基本で、ナビ自身も何度が公園を見に行きましたが、危険を感じたことは一度もありません。
公園でギターを弾く男性

公園でギターを弾く男性

音楽やバンドが抗議活動をより参加しやすいものにしているのが、アメリカ的!

音楽やバンドが抗議活動をより参加しやすいものにしているのが、アメリカ的!

公園を守っている(?)警察

公園を守っている(?)警察

オキュパイの主張

当初より、よく聞かれた、オキュパイ・ムーブメントへの批判として、「具体的に何を要求しているのか、分からない」というものがあり、そのためか大手メディアは抗議活動に批判的で、ドナルド・トランプは、テレビの番組で「みんな、あそこの公園にデートする相手を探しにいってるだけだよ」と、嘲笑していました。オキュパイ・ウォール・ストリートのウェブサイトをみると、『OWSは、民主主義のプロセスを腐食する大手銀行と大手企業、長期におよぶ不況の原因を作り出したウォール・ストリートに対して闘うものである』とあり、また『我々の未来を失わせる不公平な経済体制を作り出す、富裕層1パーセント』との闘いについても言及されています。 具体的には、今回の不況の原因を作り出した大手銀行や投資銀行のホワイトカラー犯罪の訴追や、経済格差の解消、あるいは大学の授業料の軽減、保険制度の改革などが要求としてよく聞かれるものです。2012年に入ってからは、移民法の改革要求など他の運動と連動しているようです。

どのような人が支持しているの?

オキュパイ・ムーブメントは当初から、著名人で支持を表明する人がたくさんいるのが特徴でした。映画監督のマイケル・ムーアは早くから何度も、ズコッティ・パークに足を運び、そこでスピーチを行っていました。また、カナダのノンフィクション作家のナオミ・クレイン、ピューリツァ賞受賞作家クリス・ヘッジズ、インド人作家のアルンダヒ・ロイなどなども、ムーブメントの賛同するスピーチを行っています。会場では、マイクの使用が禁止されているため、言ったことを周りにいる人達が大声で繰り返して、より外側にいる人に伝えるという『人間マイク』が常に行われて、見ているとかなり楽しいのが特徴です。また、大手メディアが批判的な報道をするなか、インターネットのリベラル系のニュースサイトなどでは、よりムーブメントに期待する形での報道が目立ちます。

オキュパイ2012!

毎年1月の第3月曜日は、黒人の地位向上に尽力したマーティン・ルーサー・キング・ジュニアを記念する祝日となっています。今年、その前日の1月15日(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア生誕日)、アップタウンのリバーサイド教会でオキュパイ・ウォール・ストリート関連の大きなイベントが行われました。イベントの前には、会場までキャンドル・マーチもあり、氷点下の中たくさんの人が集まりました。参加者は、アッパーウェストサイドという土地柄を反映してか、かなり年配の人も多く、夜8時からという時間にも関わらず、小学生やさらに年下の子供を連れている人も。
マーチの前に話す中国の人権運動家(マイクは使わず、ここでも人間マイク)

マーチの前に話す中国の人権運動家(マイクは使わず、ここでも人間マイク)

会場で配られたチラシ

会場で配られたチラシ

リバーサイド教会でのイベントは、ミュージシャンの参加で盛り上がりました!写真はアフリカン・ドラム

リバーサイド教会でのイベントは、ミュージシャンの参加で盛り上がりました!写真はアフリカン・ドラム

参加者で埋まる教会!

参加者で埋まる教会!


いかがでしたでしょうか。2012年は、大統領選挙の年です。4年前に、オバマ大統領が選ばれた際には、街中に人があふれて、初めての非白人大統領の誕生と変化への期待から涙ぐむ人も多く見られたニューヨークでしたが、今年は、また違った意味で政治的な動きが活発になる予感がします。以上、ニューヨークナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-02-02

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