最先端のブラックアートを体験出来るハーレムの美術館。絵画だけでなく、写真や版画、彫刻など多彩な展示も魅力です。
こんにちは、ニューヨークナビです。今日はアフリカ系(アフリカに祖先を持つ人たち)の現代アーティストの作品のみを扱うハーレムの美術館「スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレム」をご紹介します。「スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレム」はハーレムの目抜き通りである125丁目沿いにあり、駅から近く交通の便も良いので、アポロシアターなどを観光する際に、気軽に覗いてみるにはピッタリ。さっそくのぞいてみましょう。
スタジオ•ミュージアム•イン•ハーレムの歴史と意義
「スタジオ•ミュージアム•イン•ハーレム」はエキスペリメンタル・アートのスタジオとして1968年にオープン。このようなアーティストの人種を特定した美術館がオープンする背景には、アメリカの奴隷制度に始まる人種差別の歴史がありました。20世紀の公民権運動を経て、アフリカ系アメリカ人の社会的地位は向上したものの、人種間の社会的、経済的格差は、まだまだ存在しています。芸術という分野でも世界的にまだまだ白人アーティストが主流であることは、皆さんも感じられるかと思います。その中でアフリカ系のアーティストの作品に特化する美術館は、ブラックアートを世に広めるという役割と、すでに活躍しているアーティストや未来のアーティストに展示の場と希望を与えるという役割の2つを同時に果たしています。展示されているものは、どれも現代美術が好きな人には楽しめる種類のものばかり。なのでブラックカルチャーに興味のある人だけではなく、コンテンポラリーアート好きなら誰でも充実した時間が過ごせる美術館です。
展示の内容は1年に3回入れ替わります。油絵、写真、彫刻をはじめ、デジタルメディアを使ったものもあり、内容は非常にさまざま。社会的なメッセージやアーティストのアイデンティティーを追求したものなどが多いので、見ていてとても刺激がありますよ。アートと社会運動の関係や、社会活動としてのアートについて考えさせられる場になっているのも特徴。1階と中2階、地下に展示がありますが、けっして大きな美術館ではないので、ゆっくり見て回ることが出来ます。現在は、木曜日から日曜日のみの営業。ホームページで、開いている時間をチェックしてから行きましょう。
展示内容
それでは今年(2011年)、夏期に展示された作品をご紹介します。
*写真スタジオ•ミュージアム•イン•ハーレム提供
ルーツであるアフリカについての作品と、アメリカでの公民権運動が描かれた作品です。
Hale Woodruff 『Africa and the Bull』 1958
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Reginald Gammon『Freedom Now』1963
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美術館のカフェにもアート作品が飾られています。これは1975年にハーバード大学で講演したモハメド・アリに一人の学生が詩を一遍、観客のために詠んでほしいと頼んだ際、アリは『me,we』と言ったことに由来する作品。カフェは木曜と金曜日のみのオープン。入館料を支払わなくても入れるので、ハーレム散歩で疲れた時にも役立つスポットです!
地下で行われていた写真展には、ニューヨークに住む十代の子供たちの作品がありました。左の作品は16歳のエドウィン・ドバルの『Urbanized War (都会化された戦争)』「僕の住む地域で、生きていくのは大変だ。暴力が日常の一部だと、生活そのものが、違った意味での戦争になる。安全と呼べる所は、ほとんどないから。僕の作品は、戦争と暴力が、個人だけでなくその周りすべてに、どのように影響するかを表現している。」
Senetchut Floyd 『Lost in a Dream』 2011
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Amyrah Arroyo 『Meeting Grandma』
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ポストカード
美術館が選んだ写真家が撮ったハーレムの写真でポストカードを作成しています。
Phillip Pisciotta 『What is Won by "Continuing to Play" 』
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Tribble & Mancenido 『I love you, Harlem』
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ストアも必見!
こちらは売り物ではありませんがアートが飾られています!
是非忘れずに覗いて欲しいのが、美術館内のストア。Tシャツやマグカップなど、お土産にピッタリな商品が並んでいます。特に絵本のコーナーはかなり充実!
いかがでしたでしょうか。けっして大きな美術館ではないので、是非気軽に訪ねてみてください!日本では、なかなか見られないアートが充分堪能できる空間です。以上、「スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレム」からニューヨークナビでした。